「別にそれがどうしたというのですか。もう、あの魔女学校と私は縁を切ったはず。だから、別にあなたがやってくる必要は……。まさか、私を魔女学校に連れ戻そうと思っているとか?」
それを聞いてアルフィアはこくりと頷いた。
「……ええ、その通りですよ。あなたをここから出して、学校へ帰還させる。そのために私はここにやってきたのです」
「いやです! 何でそんなことを。それはつまり、魔女学校からの人材流出を阻止するために、あなたたちが適当に考えただけのことでしょう!」
「……そうね。それは言えます。ですが、一度でいいのです。もどってはいただけないでしょうか」
「戻ったら、二度と私は外の世界に出ることは出来ない。……そうよね?」
「……、」
その言葉に、アルフィアは何も言わなかった。
それを傍で見ていたメリューさんは、俺に声をかける。それもとても小さい声で。ひそひそ声と言ってもいいくらいのトーンだった。
「……どうしました?」
「いいからとにかくリーサを呼んで来い。あと、お前はどうにか時間をかせげ。ちょっと今から色々とやらないといけないことがあるから」
「はあ。わかりました。変なことだけはしないでくださいよ」
「私が変なことをするとでも思っていたのか、お前は」
ええ、十分に考えられますよ。
とまあ、そんなことが言えるわけもなく、俺はリーサを呼ぶことにした。そしてメリューさんと合流し、そのままキッチンへと消えていった。
「お待ちなさい! まだ話は終わっていませんよ」
「……あなたは、ここに何をしに来たのですか」
さて、ここからは俺の時間稼ぎタイム。
どうにかしてリーサが戻ってくるまで、機嫌を損ねないようにしないといけない。さあ、どこまで抗えるだろうか。
「何をしに来た、って……。マスター、聞いていて解らなかったのか。私は彼女を魔女学校に連れ戻しに来た」
「客としてやって来たわけではない、と?」
それを聞いて、何も言えなかったアルフィア。
俺はさらに、話を続ける。はっきり言って、こういう人間は客商売をしている上でみると迷惑だ。
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