その入り口は様々な世界の様々な場所に繋がっており、それを介して様々な世界のキャラクターが登場する、とても不思議な喫茶店だ。
そして俺はそのドラゴンメイド喫茶で雇われマスターをしている。別に大変かといわれるとそうでもなくて、ただ暇をしている日が最近多いわけだけれど。
「ねえ、ケイタ。今日は誰も来ないね。ヒリュウさんも朝イチに来てもう帰っちゃったし……」
カウンターには俺のほかにリーサが居た。リーサはいつもほかのお客さんの注文を聞いたり(注文といってもメニューは一種類しかないから大半はクレーム処理になるが)、メニューを運んだりといろいろ行う。ウェイトレス的ななにかだ。
リーサは掃除をしていた。誰も来ないから、何もやることがない。そうリーサは言っていた。だったら今日くらい休みを取ればよかったのに、と思ったがリーサ曰く「普段掃除出来ていないところも出来るからちょうどいい」とのこと。
なんというか、女心は解らない。
カランコロン、と鈴の音が鳴ったのはちょうどその時だった。
ドアが開き、入ってきたのは三角帽を被った黒いローブの女性だった。
「……いらっしゃいませ」
俺はいつもの営業スマイルで声をかける。
カウンターに腰かけた女性は、リーサを見るや否や声をかけた。
「もしやあなた……リーサではありませんか?」
それを聞いたリーサは目を丸くして、黒いローブの女性に訊ねる。
「まさか……、アルフィア先生?」
先生? その言葉を聞いて、俺は首を傾げる。
そしてアルフィアと呼ばれた女性は三角帽を外した。
クリーム色の長い髪だった。白磁のような肌で、目鼻立ちしているその顔は、モデルか何かと言われても造作ないだろう。
そのアルフィアはリーサに目線を合わせ、
「長らく探していましたが、まさかここに居たとは。……探しましたよ、世界最高の魔女、ミカサ・エルフェイザの最後の弟子。あなたがミカサ・エルフェイザの弟子になると言って魔女学校を飛び出て、もうどれくらい経過していたでしょうか。ほんとうに弟子になったときは驚きましたが」
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