「ほっほ、まあ、彼女らしいのう。まあ、後で洗い場を貸してあげよう。先ずは休憩とでも行こうではないか。……君たちが問題なければ、の話だが」
俺はその言葉にゆっくりと頷いた。
時刻は未だ昼過ぎだ。とはいえ、ボルケイノの時間軸ではあまり関係ないけれど。
そういうわけで俺とリーサも、ヒリュウさんと同じくプリンアラモードを食べることにするのだった。
◇◇◇
プリンアラモードの味は格別、と言っても過言では無かった。
ヒリュウさんはいつもプリンアラモードを食べている。そういえば初めにボルケイノにやってきたときは、『食べたことのないデザートが食べられると思ったが』ということだった。確かにここは喫茶店だし、ご飯ものよりかはデザート、になるだろう。そういうわけでヒリュウさんは普通にご飯を食べてから、プリンアラモードを食べることとした。そして、そのプリンアラモードを食べて、その味に虜になった。
「ほんとうに、この味は飽きが来ない。素晴らしいものだよ。昔はあまり出歩こうとは思わなかったが、このお陰で麓に降りるようになったからな。ボルケイノに行くには麓まで降りねばならないから、そこだけが非常に面倒な話ではあるがね」
そう言ってヒリュウさんはまた一口プリンを食べるのだった。その笑顔はまさに子供そのものだった。
聞くところによるとこの地方での甘味はあまり無く、プリン自体が物珍しいものだということだった。言われてみれば、甘味として売られているのはよく分からないクッキーのようなものだけだったし、軟らかい食感の甘味自体が珍しいのだろう。
「……ふう、美味しかった。やはり、これを食べないと何か上手くいかない感じがするのう」
そう言ってヒリュウさんは器を机に置いた。
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