「お湯を沸かしてからだから、少々時間がかかってしまったわい。仕方がないが、許してくれ」
ヒリュウさんがトレーに乗せていたコーヒーカップをテーブルに置いていく。
そのタイミングを見計らって俺はメリューさんからのお土産を取り出した。銀色の箱だったそれを開けると、箱の中から冷気が出てきた。箱の中は冷気が立ち込めているようだった。
「……これ、すごい技術だな」
俺の世界でいうところの、ドライアイスだろうか。とにかく、そのような冷たい空気が出てきた。
リーサは驚くことなくそれを見つめて、
「へえ、氷冷魔法を箱に閉じ込めている、ということかな。それにしてもどういう技術を使っているのだろう。もしかして……あのキッチンにそれを作れる装置でもあるのかな?」
「そんなこと俺に質問しても知るわけがないだろ。俺だってあのキッチンには数回しか入ったことがない。あのキッチンの設備をすべて知っているのは、メリューさんとティアさんくらいだからな」
「ほっほ。まあ、そんなことはどうだっていいのではないかね。その中には何が入っているのか、先ずはそれを解決すべきでは?」
確かに。ヒリュウさんにそう言われて俺は箱の中から何かを取り出した。
中に入っていたのは――プリンアラモードだった。
プリンを中心にホイップクリーム、イチゴ、プレッツェル、キウイ、オレンジがきらびやかに盛り付けられている。毎回思うけれど、メリューさんは幅広いジャンルで完璧にこなすんだよなあ、まさに料理チートとでも言うべきか。
「おお、プリンアラモードじゃないか。これを配達してくれるとは、メリューちゃんも隅に置けないなあ」
そう言っていたヒリュウさんの表情はとても朗らかなものだった。
箱の中にはスプーンやフォークも入っていた。用意周到だな、と思っていたが最後に手紙まで入っていた。
「……何だろう、この手紙?」
俺は疑問に思って、綺麗に四つ折りにされていた手紙を、ゆっくりと開いていった。
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