「……ケイタ、休みましょうか?」
「ふう、ふう……。う、うん、そうしようか。それにしても、体力があるね、リーサは。ちょっと想像と違って驚いちゃったよ」
そう。
今ここで話があるように、俺の予想とは大きく違うものになっていた。確かに俺はこの山道を数回上り下りしていた。だからこそ、昇り切れるという油断があった。そして、その油断に見事にはまった。
今はというとリーサが俺より少し前に行ってちょうど座り心地のよさそうな岩を見つけたのかそこに腰かけて俺を待ち構えている状況だった。
俺は荷物を持っているからその分がある――と言ってもそれはただの言い訳に過ぎなかった。そんな言い訳が通るとは思っていないから省くことになるとは思うけれど、それにしたってこれは酷い。もっと体力をつけないといけないな、と俺はその時実感した。
漸く岩場に到着して俺はリーサの隣に腰かける。
リーサは自分で持ってきていた水筒からお茶を飲んでいた。俺も飲もう、そういえばのどが渇いていた。
水筒を開けると冷えているお茶が未だ温度を保っていた。有難い。身体が火照っている以上、このように冷たいものはかなり嬉しい。
そう思いながら俺はお茶を一口飲む。口の中に冷たいお茶が入っていく。それは喉、そして胃に流し込まれる。きっと胃もびっくりしていることだろう。これほど冷たいお茶が流し込まれているのだから。
「……荷物、持ちましょうか?」
リーサの問いに、俺は首を横に振る。
そこまでしてもらうのは、流石に男が廃る。
「いや、大丈夫だよ。別にあと半分も無いから、さ。……それにしても、これはいったい何が入っているんだろう?」
「メリューさんに聞いていないの?」
そういえば、メリューさんに中身を聞こうとしたけれど、「到着するまでのお楽しみだ」としか言わなかったような気がする。これは、ヒリュウさんへのお土産なんだよな? なぜ配達する俺たちも知らないってことにするのだろうか。まあ、メリューさんはこういうことが好きだから……、仕方ないのかなあ……。
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